この記事では、枕の最重要要素である「高さ調節」について詳しく解説しています。

枕を変えることで肩こりや首・背中の痛みを改善することは可能ですが、その大部分を占めているのがこの「高さ」という要素であると言っても過言ではありません。

なぜ枕の高さを適切に調節することで肩こり等の改善に効果があるのでしょうか?見ていきましょう。

そもそも就寝時に「高さ」が必要な理由とは?

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まず、そもそも「なぜ就寝するときに枕が必要なのか?」を考えてみます。

それは枕という物体の性質からも明らかですよね。「高さ」を得たいからです。

では「なぜ高さが必要なのか」も追ってみましょう。

横になったときの理想的な姿勢は「真っ直ぐ立っているときの姿勢」

人間の身体は二足方向への進化に伴って、「普通に真っ直ぐ立っているときが最も身体に対して長期的に負荷の少ない状態」となっています。

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つまりこの姿勢ですね。

ポイントは

  1. 身体のバランスの重心が横から見ても正面から見ても中央にある
  2. それぞれの重心を結ぶと一直線上になる
  3. 首の骨(頚椎)と背骨が緩やかなS字カーブになっている

という点です。

「姿勢を良くすること」は散々言われてもう随分経ちますから、年齢によらずその大切さはみなさんご理解されているはずです。猫背は肩こりを生んだり、きっと実体験もあるでしょう。

ということは、寝転がったときも同じ状態を維持しているべきだと思いませんか?

重力の方向が90度変わるとはいえ、身体(筋肉や骨)にとってみればリラックスした体形であるかどうかは向きを問わないと考えるのが自然です。

高さがないと頭は下がり、首に大きな負担がかかる

先ほどのイラストを横にしてみましょう。

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床だけ追加しました。

あらら、首が浮いていますね…。

つまり、これは次の瞬間こうなることを意味しています。

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はい、この時点で既に不自然な感じがしますよね。見ているだけでも首が痛くなってきそうです。

この画像をもう一度立ち姿勢に戻して考えてみても明らかにおかしいですね。こんな状態を自分で維持しながら立っていることの方が難しいくらいです(重力がないので当然なんですが)。

先ほど挙げた3つのポイントも併せて見ておきましょう。

身体のバランスの重心が横から見ても正面から見ても中央にある 首より上の横から見たバランスは明らかに中央ではないです
それぞれの重心を結ぶと一直線上になる 上記により、一直線上にもなりません
首の骨(頚椎)と背骨が緩やかなS字カーブになっている 首の骨は無理に後ろに倒れている状態になっていますので✕です

全てアウトですね。特に、3つめの「首の骨(頚椎)が緩やかなS字カーブになっている」が実現できていないと、首の痛み・肩こりへ甚大な被害をもたらしていきます

ここはまた後述いたします。

枕を適切な高さにすることで、首のS字カーブが緩やかに保たれる

では、先ほどの違和感のあるイラスト、

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ここへ、「高さ」を追加してみましょう。

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おお、すっきりしましたね。

重心のラインを引いてみても、

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しっかり身体の中心を通っていることが分かります。立ち姿勢と同じ状態を維持できていることも確認できますね

また、首の骨も見てみましょう。

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このくらいがもっとも刺激がなく負荷のかからないカーブ具合です。また、首の骨のカーブにそって枕がしっかり隙間なく追従しているのも非常に大きなポイントです

しっかりとした枕を用意して頭全体の高さを用意できていても、首まわりに隙間がある場合は首がリラックスすることができず、結局首の痛み・肩こりを生んでしまいます

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矢印の先の赤い領域に、無駄な空きスペースがあることが分かります

さらに言ってしまうと、低反発枕などのように枕の首元部分が柔らかすぎても、沈み込みによって結局意図した高さを維持できず、肩こりへ繋がるケースがかなりあります

とにかく今は首まわりをリラックスさせることが全ての目的であり重要なポイントであると覚えておきましょう。これだけで肩こりは激減します。間違いありません

そしてもちろん、枕の高さ自体を適切なものに設定することも言うまでもなく必須です。

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高さがあればなんでもいいわけではなく、首のS字カーブを緩やかに、過度な刺激や負荷をなくすことが目的ですから、高すぎても低すぎてもいけないことはすぐに分かるでしょう。

なぜ高さを変えると肩こりに影響があるのか

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横になるときに枕という高さが必要なことはご理解いただけたと思います。

では、「なぜ首のリラックスさを求めると肩こりへ繋がっていくのか」という、ややメカニズム的なところもお話したいと思います。

ここを知っているのと知らないのとでは、枕に対するイメージは全く変わってくるでしょう。何事も仕組みを知ってこそ本当の理解だと思います。

実は、枕の高さが直接影響するのは「首」です

ここのタイトルにもあるように、これまで「首」に対してばかり話をしてきましたが、

私がなんとかしたいのは首の痛みじゃなくて肩こりなんだよ!

とお思いの方もそろそろいらっしゃるかと思います。

しかしご安心ください。就寝時に起きる肩こりはほぼ全て、首からの刺激が原因であることが分かってきています

そもそも、肩って直接枕と関わっているようには見えないですし、場所的にも「なぜ枕を変えると肩こりが解消するの?」と思うのも無理はありません。

しかし、なんとなく

首と肩って近いし、首が痛いと肩も痛くなるんじゃない?

とぼんやり思っている方がいましたら、お見事です、それは大正解です

首と肩の筋肉は繋がっている

決定的です。

首周りから肩にかけての筋肉はほぼ繋がっていて、お互いがお互いと関連し合うような関係になっているのです。

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出典:小林製薬、目ディア

ならば、首が疲れる=首の筋肉に刺激があるなら、そこに繋がっている肩の筋肉にも負荷がかかってしまうのは当然ですよね。

この一番大きい筋肉は主に「僧帽筋」と呼ばれ、その他にも背中、主に肩甲骨の辺りを覆っている「広背筋上部」なども付近の筋肉と干渉しあっています。

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余程特徴的な動作を日常で繰り返してでもいない限り、

  • 首だけピンポイントで凝る
  • 肩だけピンポイントで凝る

という現象は起きないはずです。

どちらかが痛い/コリ/ハリがある場合、もう一方も触ってみたらほぼ必ず同様の症状があることでしょう(普段感じる程度量の差はかなり個人差があります。私はなにもしていなくても感じるのは肩こりですが、首も揉んでもらうと恐ろしいほど痛いことがよくあります)。

なぜ今まで「首を大切にしろ」と口を酸っぱくして申し上げてきたかといいますと、首が原因、つまりスタート地点となって、首のみならず肩までも痛めてしまうからなんです。

逆に「肩こりからいきなり始まって首まで痛めてしまう」というのは就寝分野ではあまり聞いたことがない話ですので、やはり最も注意すべきは「首」ということになりそうです。

刺激を受ける首の骨(頚椎)の場所により、肩こりなどの症状が引き起こされることがある

ここはより専門的な内容というか、一般的なイメージだけでは分からない部分なので、やや驚きがあるかもしれません。

交通事故で首の骨を損傷してしまい、寝たきりになってしまう方がいらっしゃいますよね。あれは、首の骨(頚椎)の中にある「脊髄」を損傷してしまうことで、その神経が司る身体の動作全てが不可能になってしまうからです。

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これは頚椎症の例ですので中央部の脊髄が狭められて損傷している様子になっています。

これを考えると、「首の骨と体全体の動作が関連している」ことが分かりますが、実は寝たきりになってしまうのは全損、もしくは最も重度の損傷の場合で、ときには「手先だけ動く」などのパターンもあります。

つまり、ダメージを受ける頚椎の場所によって、支障を来す身体の部位が異なっているということなのです。

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出典:MSDマニュアル

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出典:朝日放送

ここは諸説あるようで、情報の出典によりやや相違がありますが、概ね上記のようです。少し遠い知り合いなのですが、肘を曲げる動作まで可能な方に聞いてみたところ、

  • C1:そこより下も全て切れる=呼吸などもままらないのでほぼ死亡に繋がる
  • C2:自発呼吸が怪しいのでベッドに繋ぎっぱなしでぎりぎり生存できる
  • C3:首を動かす、肩のみ動かせる(すくめる動作など)
  • C4:肘をやや曲げられる
  • C5:肘を曲げられる
  • C6:肘を伸ばせる、手首を動かせる
  • C7:指先まで動かせて、物も軽く掴める

のようなイメージだと言っていました。

前置きが長くなってしまいました。

もうお気付きかもしれませんが、事故などで大きく怪我をしない場合、つまり普段の生活での刺激でもこの頚椎と身体の部位の関係は健在なのです。

先ほどの図をもう一度見てみましょう。

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「肩」に関する表記がありますよね。つまり、ここに該当する頚椎(だいたいC4~C6あたり)にストレスがかかると、肩こりへと繋がってしまうのです。

この該当する頚椎はどこかというと、

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ちょうどこの辺りです。はい、この記事で最初から言っている、「無駄な負荷を与えたくない場所そのもの」ですね

少し規模の大きい話をしてしまったので危機感を煽ってしまったようでしたら申し訳ありません。実際には大怪我に比べたら本当に小規模なことが起きているだけですが、首の骨が肩こりへ関連している要素がこんなところにもある、というのはぜひ知っておいていただきたいのです

今まで「年齢を重ねれば肩こりなんて勝手に増えてくるものだろう」となんとなく思っていた方も、適切な対策によって相当抑え込めそうだということが分かっていただけたのではないでしょうか。

ここまでが、

枕の高さを適切なものにする → 首へのリラックスに繋がる → 肩こりが改善される

という流れをご紹介してきたものでした。

まとめ

内容は以上です。かなり踏み込んだところまでお伝えできたかと思っています。

枕を変えることによる多大なメリットは、こういったことまで理解できていないと気付きにくいものです。

もちろん「良い枕」というのはこの「高さに関するアプローチ」などはクリアしているのは基本で、この他にも快適に眠れる様々な工夫が隠れていたりします。

しかしなによりもまず、「自分にあった高さの枕を選ぶ」ということの大切さを覚えていただければ幸いです。

高さが大事なのは分かったけど、じゃあ実際にはどの枕を選べばいいの?

という方のために、私が今までの経験から厳選したとっておきのおすすめ枕を紹介する記事をご用意しております。

首こりを含む、肩こりをなんとかしたい!という思いが強い方にはこの辺りの枕がやはり一番おすすめです。

中には高さの調整機能として50段階も調節が可能な枕もご紹介しています。ぜひご覧ください。

それでは、お読みいただきありがとうございました。